「男はつらいよ」誕生40年を迎えた平成20年の8月15日、「寅さんの夕べ」と題して、帝釈天参道など各所にろうそくが灯され、弦楽四重奏や納涼盆踊り大会、子ども花火大会が催されました。
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夕暮れ時の17時半過ぎ頃から、柴又駅広場において、「輪〜Ring」による弦楽四重奏が行われました。「男はつらいよ」の「第18作 寅次郎純情詩集」や「第45作 寅次郎の青春」に使われたシューマン作曲「トロイメライ」(子供の情景より op.15-7 (Träumerei - 夢想の意))など、映画「男はつらいよ」にちなんだクラシック曲や日本の曲が演奏されました。優雅な演奏に、蝉の声やときおり通る電車の音が重なりながらも、素敵なひとときでした。 | ||
あたりが暗くなった19時頃、寅さん像や帝釈天参道、柴又公園に「ろうそく」が点火され、「寅さんの夕べ」が始まりました。 寅さん像は、風に揺れるろうそくの火に囲まれ、シルエットが夕闇に浮かびます。大方の店の明かりが消えた帝釈天参道は、両脇にろうそくの淡いオレンジ色の火が点々と灯り、訪れる人を題経寺へ誘(いざな)います。 |
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ろうそくの仄かな光に照らされる今宵の参道は、昼間の喧噪が嘘のように、しっとりした風情があり、まるで夜の古都の街をそぞろ歩きしているようです。行き交う人々も、普段の帝釈天とは違った夏の夜の帝釈天参道を楽しんでいました。 題経寺門前にはいくつかの露店が出て、門前を明るく、賑やかに照らしています。 |
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境内では、提灯の明かりが揺れる櫓(やぐら)の周りで納涼盆踊り大会が行われました。きれいな浴衣を着た子らが、太鼓と音頭に合わせて上手に踊ります。 いつしか、題経寺の建物は闇に溶け込み、帝釈天の境内に、月と盆踊りの光景だけが浮かび上がります。ぼんやり眺めていますと、子どもの頃に行ったどこかの夏祭りにでもいるような錯覚を覚えました。 |
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江戸川沿いの柴又公園では、ろうそくの火が石段の両脇に揺れ、「寅さんありがとう」と書かれた紙とともに、公園の頂上まで続きます。ほの暗い静かな石段を上っていると、どこかの鎮守の森に向かっているような気がします。 あずま屋の天窓は、「男はつらいよ」誕生40周年を記念して点灯され、その下には寅さんの写真がライトアップされました。 |
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頂上では、子ども花火大会が行われ、花火の色鮮やかな光に、子どもらの笑顔が闇にぽっと浮かびます。
「そういえば、夏休みに田舎の親戚の子らや家族とした花火は楽しかったな」と、こども時分に花火をして遊んだ楽しい記憶が甦りました。 見上げれば、高い夜空に白く輝く、まあるいお月さん。 |
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