アイデアを楽しむ中で、発明家が悩んでしまうのが、特許に値するのかどうかということ。特許というと高度な技術、複雑な構造というイメージが頭を離れないからである。

先日、会員のAさんから新しいパズル形態の相談を受けた。Aさんは、某出版社の編集長から「パズルは著作物としては通用するが、特許には決してならない」と言われたという。相談を受けた私は、立派な特許の対象になると説明した。

常日頃、相談を受けていて同様な不安を持つ会員が多いが、現実はそうではないことを会員の皆さんに伝えたいと感じていたところに嬉しい報告を受けたので紹介したいと思う。

石阪さんは、特許出願していた「精神鍛練システム」というものが特許権を取得し、商品化の売り込みの相談に来た。「精神鍛練システム」は、精神を集中できるようなデザインの周りに発光体を配置させたものである。発光体は、奇数番地位置と偶数番地位置が交互に点滅し、その残像現象から光が右周りもしくは左周りに回っているように見える。それを意識の集中によって逆に回るようにイメージし、精神を鍛練するという出願が、特許査定になったのである。

その出願としては、同様の構造を持つ商品とそれらの機能を有するソフトウェアが含まれ、権利範囲は、限りなく広いものである。この内容を見て、皆さんはどのように思うだろう。たぶん、今までの特許に関するイメージが崩れさったのではないだろうか。

簡単そうな内容の中にほど、見逃しがちな発明が埋もれているのである。皆さんも、もう一度、身の回りを見てほしい。そこには、簡単だけれども大きな権利につながる「あたり前特許」があるはずである。