当会法人会員企業が、「雨傘脱水機」を開発した。同社は、精密モーター減速機の技術に強く、今回の開発にも利用されている。この雨傘脱水機は、旅行トランクを横に立てたほどの大きさで、真ん中のスリットに濡れた傘を差し込むとスポンジ状の吸水ベルトが両側から傘を挟み、出口まで傘を運ぶ仕組みである。3〜4秒で水分の70%を除去し、傘に触っても濡れない程度にする。

吸水方法は、ユニーク。通路両側のベルトを並行に5列にし、上の方は速く、下の方は遅く動く。さらに両側のベルトを各々違う速さにし、不規則な動作を繰り返す方法にしてキリモミ状にした。これにより、傘布の全体が吸水ベルトに触れることになり、傘布の内側まで吸水されるのである。ベルトを複雑に動かすモーターコントロールは、同社の最も得意とするもので、同社ならではの開発製品といえる。

値段は1台48万円。今や雨の日になると、どのスーパーやデパートの玄関にも当り前のように濡れた傘を入れる使い捨てのゴミ袋を用意している。「日本全体で見ると大変な資源の浪費。また焼却による大気汚染を考えると、環境保護からも高いものではない」と同社は自信を持つ。

いずれにしても、このような環境に優しい商品作りというのは、時代の要請といえるだろう。