女性がセーターやTシャツを着替えるときに、衣服に口紅等の化粧をつけ、汚すことがたびたびある。そんな不便を解決するために、北海道の会員、大久保悦子さん (札幌市)は、「着替えカバー」を発明し、自分で商品化した。
スカーフの生地を袋状にして、頭からすっぽり被るカバーで、あご下のスナップボタンで固定するものである。これを被ってセーターを脱ぐと、もう口紅が付いたり化粧で汚れることはない。
●野球ボールからヒント
大久保さんは、結婚前に婦人服の大手メーカーに勤めていたが、試着時の化粧品汚れによる返品が多かったという問題意識を主婦になっても持っており、折々に顔を覆うカバーのアイデアを考えてきた。
あれこれ工夫する中で、ひょうたん型の2枚の生地を組み合わせて球形を形作る野球ボールがヒントになり、スカーフの生地でボール状を作り一部を切り開いて頭が出入りする袋の試作品を仕上げた。着替えに使ってみると、化粧が付かず髪形が崩れずに具合が良い。さらに全体を折り畳んだまま反転させると付属の小さなポケットに収納できるように工夫し、コンパクトに携帯できるようにした。
●家事の合間に商品作り
発明研究会で評判がよく、テレビの発明将軍やズームイン朝でも紹介され、友達やテレビを見た人から注文がくるため自分で商品化に踏み切った。夜の8時から12時までの4時間で約20枚の商品ができる。これを1枚1,500円で売り、これまで半年間で600枚くらい作ったという。
口コミのお客さんに応じているだけだが、「自分の発明品が、少しずつでも世間に広がっているという手応えがありますね」と、満足感で報われている。