発明を権威付けするテクニック
ここまで、発明をうまく表現して、その内容を伝えるためのテクニック事例を紹介しました。今回は、それらの表現をした上で、さらに発明の良さを後押しするためのテクニックの一つをお教えしましょう。

●推薦状による権威付け
企画書を作成して、いざ売り込もうというときに、それをそのまま送るよりも、推薦状を添付するテクニックがあります。企業側にしてみれば、売り込み企画書に第三者の推薦状があることで、内容が評価を受ける程の内容であるという第一印象を受けます。そして、その好印象を持つことで、個人の発明であっても正当な評価をしてくれるので、よい発明が不採用になるということがなくなります。しかし、推薦状をもらうのが誰でもいいというものではありません。では、何を基準に推薦者を決めるのかをお教えしましょう。

●業界の権威者から推薦状をもらう
推薦状とは、第三者の目による評価の証です。その第三者にしても、各々の業界により価値を高める人達がいます。例えば、健康商品の推薦状であれば、健康に関する権威である医者だとか、ものによっては整体師の推薦というのは大きな価値を生み出します。実際、企業にしても、作った商品がそういう人達に認められなければ売れませんし、そのお墨付を利用することはメリットがあります。そうなると、拒絶することを対象に発明をみるのではなく、採用してそのお墨付を使うことを前提に判断するケースが少なくありません。そこで、仮にその発明内容がいま一つであっても、改良を発明家に促して採用するケースも生まれます。

●特許庁の登録証書を利用する
発明という分野における権威といえば、特許庁による特許や意匠、商標の権利が上げられます。現在、私が相談にのっている案件で、医療関係の現場の安全性と経費を削減するというアイデアがあります。これを2年ほど前に企業に売り込んだところ、残念ながら不採用になりました。それが先日、特許庁の審査を通り意匠設定されると、同じ企業との交渉が、現在製造可能かどうかという商品化を前提にした方向に進むようになりました。もちろん、背景には時代の流れもありますが、それを後押ししたのは、意匠権という権利であったともいえましょう。

ただ、賢明な当会会員であれば、既にご承知だと思いますが、特許庁の権利であっても平成6年以降の実用新案については、無審査で権利がもらえるものですので、慎重を期してください。