特許法第35条に職務発明規定なるものがある。平たく言えば、利益をあげた発明を生みだした社員に、会社は発明報奨金を差し上げなさい、という規定である。これを受けて企業では、職務発明取扱規定を設け、会社と発明者との取り決めをしているのが一般的である。
ソニーは、報奨金に2000万円以上を出すという。ソニーが改正した報奨制度は、特許、実用新案、意匠の各分野で貢献度の高い発明や開発を選び、級に応じて報奨金を支給するというもの。その中で特級は、5年間、毎年2000万円以上の報奨金、つまり一億円以上を支払うという。不景気の中でもソニーは、新商品を次々と開発して、大きな利益をあげているのも納得できる。これは、発明者重視の会社だからである。
古い話しになるが、ソニーが東京通信工業と呼ばれて10人ぐらいの小企業の時代、発明学会と同じビルでフロアーが上と下だった。当時、井深さん達は、新商品の開発に熱中していて、毎晩、遅くまで電気が灯いていた。大企業といわれる会社も、元は小企業だった。
創業意欲が欠け始めた時に、国は下降になっていく。西郷隆盛や大久保利通が活躍して新しい日本ができたように、国は、個人発明家や小企業に夢を与えるような政策を掲げてもらいたいものである。「国が豊かになるアイデア募集」をして、大賞には5億円ぐらい出してくれないだろうか。それによって、ニュービジネス、新技術が生まれれば5億円は安いと思うのだが。