事故や怪我、病気等で体を患っている人にしてみれば、普通の生活をすることが大変な作業である。そんな不自由にめげまいとしたときに様々なアイデアが生まれるものである。
山口豊さんも、体の不自由さからアイデアを生みだし、頑張っている一人である。長年のタンス職人の見習い生活から独立して室内装飾の仕事を始めた山口さんは、ある日、交通事故にあい、その傷がもとで右腕を切断するはめになった。片腕をなくして室内装飾の仕事ができなくなった山口さんは、飲食店の経営を選択する。
調理は、仕込みを早い時間からやっていればできたが、食器洗いが山口さんを悩ませた。そこで考え出したのが、スポンジをマジックテープでゴム手袋にとりつけるというもの。これなら、片手でも食器洗いができる。そして、装着しやすく、安定するようにミトン型の手袋とした。これを自分で使っていると、福祉関係の人の目に止まり、障害者施設の人に使わせたいと申し出がきた。山口さんは、喜んでその手袋を制作し納めるとともに、施設に足を運んで様々な手伝いをするようになった。
体は不自由でも、そのアイデアに取り組む前向きな姿勢を、我々も見習いたいものである。