かつて米国から教えられたQCは、日本では提案QCに革新された。日本の商品は、全社員によるアイデアや改良提案が反映された高品質なものとなり、日本は経済大国となったが、バブル崩壊とともにアイデアや提案活動が激減し、末端技術の進歩も止まった。
しかし、米国を始めとする諸外国は、日本の提案QCを研究し、金井正明氏の「KAIZEN」に注目。米国企業は、リ・エンジニアリングを導入し、末端技術は活気づいた。
そして、いま日本HR協会の東沢文二氏などの著書「改善」(講談社)が盛んに企業で読まれ実施されようとしている。これは発明家にとっても、きわめて大切なことで根本的な考えである。そのカイゼンの中心思想は、
『どんなによいアイデアでも実施されていないものは、アイデアではない。』
『頭の中だけで考えたアイデアなんて皆同じ、大したことはない。手を加え、足で実施してこそ、深くよいアイデアになる。』
『資金がない。設備がない。人手がたらぬ等々の制約を唱えて、やらぬイノベーションは役に立たぬ。』
『現状況のままで、できるところから、やれ。とりあえず、どこかを変えてみよ。少なくとも改善せよ。小、小、小、イノベーション、それがカイゼンである。しかも、それを数多く、続けて変えてゆく。するとイノベーションに勝るものが生まれる。』
それが、いま世界に実行されているカイゼンであり、本家本元の日本で胎動しつつある「実施済の提案」の根本思想である。
発明家も自分の発明が成功しない理由を改善に照らしてもらいたい。
『仕事のあるところ必ずカイゼンあり。カイゼンされたものは全て教訓になる。』